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2016-01-18

#blog 掲載していただきました

徳島は全国的にみて、タウン情報誌が多い街だそう。
全般層向け、女性向け、子育てママ向け…とターゲット層はまちまちだけど、徳島の情報誌を扱う主な会社は県内に3社、媒体は(たぶん)6誌。人口75万人の小さな県にひしめいている。

わたしも7年間、某タウン誌の編集者として勤めていていろいろ見てきたけれど、そのレベルは全国的に見ても高い方じゃないかと思っている。店の情報がどれだけ載っているかとかいうタウンページ的な情報誌ではなく、読み物としてもおもしろい“雑誌づくりの熱”を感じられるものが多いと思うから。

WEBが発達し、SNSが普及しはじめた、いわゆる出版不況と言われる時代の流れと肩を並べながらタウン誌づくりに携わることになったわたしは、紙媒体で発信することの意味を何度も何度も嫌でも考えさせられた。結局のところ、「WEBにはWEBの良さがあり、紙には紙の良さがある。だから、紙は生き残る。」というのが、今も変わらない考え。

雑誌の世界でも「昔はもっとおもしろかった」とか「似たようなものばかりだ」とか、聞こえてくる話だけれど、そんなこと編集者だってわかっている。時代とともに巨大化しているあらゆる制約に対抗する勇気も強さも必要だろう。「紙は生き残る」と前述したけれど、ただそれは残念ながら“本当におもしろいもの”、“本当に良いもの”に限られていくのだろうと思う。“本当におもしろいもの”とか“本当に良いもの”には、“熱”が通っている。人の温度であったり、愛情であったり。見えないものだけど、見えている。不思議なことだけれど。どんな分野においてもきっとそうなんだろうな。

さて、前置きが長くなりました。
先日発売された徳島の女性誌『CU』のオススメの本10冊を紹介するコーナーに掲載していただきました。(ありがとうございます!)

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わたしが勤めていた某会社とは世間的にライバル関係と認識されている会社のタウン誌ですが、前号からリニューアルされています。表紙全体に羅列されていた記事の見出しは消えて、特集タイトル一本という潔さ。元々の職業柄、このリニューアルを様々な角度から見てしまいます。

そんなことをいろいろ考えていたら、なんとなくタウン誌時代を思い出して前置きが長くなった次第です。。

当初に立ち返るような気負いと洗練した雰囲気を持ち合わせていて、何度かリニューアルされているかと思いますが、続けていって欲しい雰囲気だなあと感じています。“わたしが勤めていた某会社とは世間的にライバル関係と認識されている会社のタウン誌”ではありますが、とにかくわたしは紙媒体を応援しているのです。

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で、「スロウライフをテーマにオススメの10冊をセレクトしてください」とのことで、掲載していただいたのですが、このテーマがなかなか困難で、CU編集スタッフさんの求める“のんびりとリラックスできるような”というイメージの本も選んだのですが、個人的には「スロウ」と聞いて、大量生産大量消費に反するライフスタイルや地域社会で、生き方としての“豊かさ”を考えるようなイメージだったので、そんな“豊かさ”をテーマにしたような本もいくつか選んでいます(上の写真は雑誌に掲載していただいているラインナップとは少し違います)。

「社会のことや身の回りのことや自分のことやこれからのことを、丁寧にゆっくりと、知って、考えて、選んで…暮らしていくことがスロウな暮らし方なんじゃないかという思いです。」

と、Facebookで書いたあとに思ったのだけど、リトルプレスをセレクトしている時点で“スロウ”だよなーと。uta no taneで取り扱っている本のほとんどが、全国に点々とする小さな出版社がつくる本や、グラフィックデザイナーやフリーライターやイラストレーターなんかのクリエイターたちがつくる自費出版本。みな、大量生産大量消費の流れから外れて、独自でものづくりをしている方のものばかり。“スロウ”ですよね? しかも取次ぎ会社を通さず個々に直接取引という“スロウ”なやりとりをしている。だから良いってワケじゃないけれど、だけど「良い」って思えるものを。

つまりは、“熱”が通っていると思うもの。

uta no taneは(たぶん)スロウライフをおすすめしています。

 

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